2009年07月03日

オキメダイ騒動記

 ことは火曜日にさかのぼる。
 ちょうど島根県水産アドバイザーの仕事で築地にいたのだ。
 そんなとき気仙沼のmakoさんからケータイ。
「ぼうずコンニャクさんお久しぶりです。今日90センチくらいのボウズコンニャクがとれたんですけど」
 これは問い合わせであって、ボクにその巨大ボウズコンニャクを頂けるという話ではない。
 でも、そのとき、こみ入った話をしている最中で、しかも明らかに、その魚はオキメダイではないか? と思い、頭にドカーンと花火が散ったような衝撃とともに「オキメダイ欲しい」というのがキラキラ光って心のなかで明滅する。
「makoさん、お願いします、それください」
 思わず言ってしまったのだ。
 実はその得体の知れない魚は気仙沼魚市場に置かれている。
 結局makoさんが交渉してもらい受けてくれた。
 そして東京へ。

 今週の月火水はホテル泊も含めて、睡眠時間を総て合わせて足し算しても10時間以下だろう。
 しかも東奔西走、歩く走る、そして仕事で立てこもる、会議で発言する、斡旋する、問い合わせるなど、息苦しいまでの日々だった。

 荷物は佐川急便で送られてきた。
 我が家族がたまたま不在であった。そのため営業所まで持ち帰ってもらう。
 その営業所が八王子のハズレにあって遠いのだ。

 木曜日は午前3時前に起きる。
 なんと昨日が雑誌『つり丸』の原稿締切。
 まだ原稿は半分しか書いていないのだ。
 午前4時過ぎに一応書き終わり、車で営業所まで。
 喉がカラカラに乾いている。コンビニエンスストアに立ち寄る時間が惜しい。
 しかも受け取った荷物が想像以上に重い、大きい。
 午前6時前にやっと自宅に持ち帰る。
 7時過ぎまで原稿の校正、書き直し、書き直し。
 7時過ぎから、魚の同定、検索。
 やはりオキメダイであることが判明する。
 昨日来、各地の博物館などに問い合わせて「オキメダイはそれほど珍しくはない。ただし北でとれたのなら貴重な事例だ。大きさも1メートルを超えなければ標本としてもどうしても確保したいものではない」ということを知人のみの問い合わせで確認済み。

 8時過ぎ、自宅で撮影を試みるが大きすぎて無理。
 八王子総合卸売センター『市場寿司 たか』店の前で撮影する。
 その後、重さなどを量って、たかさんにさばいてもらう。
 当然、すしネタにしてみる。

okimedai090456.jpg
たかさん、12キロのオキメダイと格闘す

 さて、5時前に受け取って、検索、撮影、重さを量り、下ろして、寿司図鑑撮影、帰宅がなんと正午前。
 全身画像だけ画像整理して時計を見たら1時を過ぎていた。

 1時半大急ぎで外出。
 本日は都心での出稼ぎはそんなにきつくない。

 夜9時前に帰宅。
 シャワーを浴びて、なんと10時前にダウン。
 今週は疲れ果てたのだ。

 気仙沼のmakoさんには改めて感謝いたします。

宮城県気仙沼市makoさんのAnglers-market
http://www7a.biglobe.ne.jp/~Fish-Fish/index.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、オキメダイへ
http://www.zukan-bouz.com/suzuki/ibodai/okimedai.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
http://www.zukan-bouz.com/
posted by ぼうずコンニャク at 08:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 魚貝類発見記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月28日

マン腸を焼く、やっぱり、うまいねーー!

 最近マンボウの入荷が多い。
 それで、ついつい毎日のように買ってしまう。
 マンボウは“身と肝のセット”と“腸”に分かれているのだけど、買ってしまうのは腸、すなわち「マン腸」だ。

 普通の人にとって、食用として市場に並ぶマンボウって、珍しいのだろう?
 観光で築地などを歩いている、いわゆる一般人が、マンボウの(残骸の)前に来ると必ず足を止める。
「マンボウって食べられるのね!」、こんな言葉が必ず漏れ聞こえてくる。
 さて、マンボウと書かれた箱には、白っぽい不思議な物体が入っている。なんじゃこれは? マンボウにはとても見えやしない。

 マンボウは鉛色の背に、銀色の腹、楕円形で尾の部分がハサミで波状に裁ちきられているようだ。
 英語ではOcean sunfish、「大洋の太陽の魚」だ。
 世界中の温帯・熱帯の海洋を漂よっている。大洋に浮かぶ銀色の身体に太陽の光を受けて、まるで海にも太陽が浮かんでいるようだ、ということだろう。
 そんな海に浮かぶ太陽は、ときに定置網に入り込み、ときどき漁師に銛を打ち込まれる。
 大きな大きな魚なのであって、小さくても畳半畳、デカイのになると畳二畳、1.5トンくらいになる。

 港などでコンクリートの上に放り出されたマンボウの、大きく見開かれた目が、印象的で、ときに悲しい。
 こんな大きな体ではとても運べやしない、港で水揚げされると、さっそくマンボウは解体される。
 食べる部分は【手で割けるほど柔らかい身】、【脂たっぷりの肝】、【ぶにょぶにょしているが丈夫な腸】、そして地域によっては【皮というか白い寒天質の部分】。肝は黄色だが、その他総てが乳白色だ。
 漁港では身と肝で箱詰めされ、腸だけは別に箱詰めされる。
 市場にやってくると、中身だけでは、とても「これがマンボウだ」なんて思えない。
 関東の市場ではありふれた商材だけど、例えば仲卸(水産物の卸業者のひとつ)の店員に「マンボウ1キロくらいくれないか」と言う。
「はいよ」と、身と適当な大きさの肝を袋に詰めてくれる。
 その一連のやり方はテキパキ手なれたものだが、「マンボウの身って面白いっすね」なんて言うことも少なからずだ。
 市場人にとってもマンボウは、ふわふわとらえどころのない物体なのだろう。

 マンボウのもっとも基本的な料理法は「肝和え」。
 身を適当に手で割き、叩いた肝と和える。
 海辺で揚がったばかりを肝和えにしたものは、それはそれはうまいものだ。
 ただマンボウの水分の多い身は鮮度が落ちやすく、都会に運ばれた時点で、やや生臭い。
 都会の居酒屋で食べる「マンボウの肝和え」、それなりに人気があるようだが、これは珍しさが先にたってのものだろう。
 対するに最近ぐんぐん人気となっているのがマン腸料理だ。
 腸の中華炒め、焼き物、椀種など、どれをとっても非常にうまい。
 なかでももっとも人気なのが焼き物だろう。

 ようするに塩コショウ、ニンニクの風味などをつけて焼くだけ。
 焼きとりのタレで焼いてもいい。
 串を打って焼くと、初めて食べる人は、焼きとりのシロのようだけど、「違うな」なんて戸惑うに違いない。
 食感はシロに近く、それよりも柔らかい。そして魚と言うよりはイカのような旨味がある。

mancho090611.jpg

 ボクは夏が来るたびにマン腸の塩焼きでビールを飲む。今日もマン腸、明日もマン腸で食べ飽きない。
 ほんまにマン腸はうまいね、なんてしみじみ思う。
 マン腸はビールにも日本酒にも合う。
 酒をセーブしている身には危険な存在でもあるな。

【焼きマン腸の作り方
1 マン腸は厚み1〜2センチほどの白い長方形の物体である。大きさはマチマチ。これを軽く水洗い、水分を布巾などで拭き取り、適当に繊維に対して切れ目を入れておく。
2 塩コショウ、日本酒、ニンニクすり下ろしをまぶして手で揉む。

mancho090622.jpg

3 これを最低でも小一時間おく。下味をつけておくと2,3日楽しめる。
4 ガス台の上に餅焼きの網を3〜5枚重ねて、強火で金ぐしに刺したマン腸を焼く。とにかく短時間に強火で焼くのがいい
 個人的には身が縮むがよく焼いた方が好き。焼き加減は好みでいろいろ試してみるといい。

2009年6月25日
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、マンボウへ
http://www.zukan-bouz.com/fygu/sonota/manbou.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
http://www.zukan-bouz.com/
posted by ぼうずコンニャク at 08:20| Comment(3) | TrackBack(0) | 食べる魚類学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月26日

アカムツの焼き切り

akamutututut09994.jpg

 土曜日の早朝のことだ。
 何気なく『マル幸』の前を通りかかると、冷蔵ケースの端っこになかなかいい感じのアカムツを発見した。
「いいアカムツだな」
「いいだろ」
「3800円(1キロあたり)かー。やっぱりいい値段だねー」
「いい値段だろ。でもまけないよ」
「どこ産」
「“さがら”ってあったけどな。どこでしょ?」
静岡県の相良なのかな。それは珍しいや。仕方ない買おうか」
 ボクと渡り合っているのが『マル幸』のクマゴロウ。
 まあ、駆け引きの相手としてはそんなに手強くない。
 小振り、280グラムしかなく、それでも1本1000円はする。
 これを少々オマケして“いただく”。
「ありがとうね。またまけろよ」
「いやなこった」
 このアカムツが値段はともかく、この日の寂しい入荷状況の中では唯一よかったのだ。

 アカムツは近年ではもっとも値段の高い魚のひとつだ。
 福島県、新潟県以南のやや深海に生息している。
 そんなに珍しい魚ではない。
 底曳網か、釣りでとるのだけど、産地では姿を見ない日はない、というくらいに揚がる。
 ただ、問題なのは、とにかく非常にうまい魚だということ。
 当然、うまい魚だから食べたい人は多い、その需要を満たすほどにはとれない。
 この需要と供給のバランスの崩れが高値となって現れているわけだ。
 冷静に考えてみるとアカムツのうまさと、秋、旬のサンマのうまさを比べると、そんなに大きな開きがあるわけではない。
 あえて言えば五分と五分。
 ところが方や貴重品、方やワンサカとれるとなると、価格は月とスッポンなのだ。
 なかなか手に入らないものは、よけいにうまく感じるのだろうか? 人間というものは。
 そうだ、忘れていたアカムツが高いのは姿がよいからでもあるな。
 鮮度がいいと身体全体が、まさにルビーの輝き、目がこれまたルビーのようだ。
 あっといかんいかん、またまた書き忘れたが、この魚、近年はアカムツというよりは「ノドクロ(喉黒)」といった方が通りがいい。
 ここで「なんだノドクロかー」と思われた方はなかなか魚に精通している。
 まあ、玄人はだし、とまではいかないが、玄人モドキくらいには思える。
 「喉黒」のいわれは、喉から腹腔まで真っ黒な剥がれやすい色素が張り付いている。
 まるで「墨を飲んだような魚だな」という人もあり、至言。
 美しい姿に真っ黒な腹の内、食べたらうまい、というのもなにやら妖艶ではないか。

 アカムツの旬は寒い時期だろう。
 ちょっと時季はずれながら、脂がのっている。
 意外に味が落ちないのも、この魚の特徴だろう。
 これを焼き切りにする。
 皮目下に旨味があるので、これがいちばん好きな食べ方。
 やはり、脂ののりはイマイチながら、やっぱりアカムツはうまいな。
 皮下に脂と旨味がある。
 これで辛口の酒があって、土曜日の夕べはなかなか充実していた。
 まんぞくまんぞく。
 脇で梅がアカムツの端っきれを食べている。食べ終わって、なおかつアカムツのあったところを何度もなめている。やっぱり梅ちゃんは魚の良し悪しがわかる、天才アイドル猫なのだ。

【アカムツの焼き切りの作り方
1 水洗いし(鱗とはらわたを出し)三枚におろす。肝は捨てないで取り分けておく。腹骨、血合い骨を抜く。
2 べた塩をする。ようするにたっぷり塩を振りかけるといい。
3 三枚に下ろした身から水分が浮き上がってきたら、水洗い。水分をよく拭き取る。
4 金ぐしを刺して、強火であぶり、冷水に落とす。肝は湯引きして冷水に。
5 刺身状に切る。肝と柑橘類を添えて出来上がり。
 単に柑橘類をかけて食べるのがいちばんうまい。
 塩気が足りなかったら、柑橘醤油で。

2009年6月20日
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、アカムツへ
http://www.zukan-bouz.com/suzuki2/suzukika/akamutu.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
http://www.zukan-bouz.com/
posted by ぼうずコンニャク at 12:56| Comment(6) | TrackBack(0) | 食べる魚類学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月24日

イネゴチの塩麹干し

aaaaaaainegoti09.jpg

 イネゴチを買った。
 コチの仲間で一般的に食用とするのはコチ(マゴチ)とイネゴチ、ワニゴチの三種。
 コチの存在が突出しており、同じように見えるワニゴチ、イネゴチは入荷してきても、コチモドキ的な存在だろう。
 値段からしてコチの半分くらいしかしない。
 愛媛県八幡浜からまとまって入荷してきたのを見つけて、腹を触りながら、どれくらい成熟しているのか、知りたくて、1本買い求める。
 キロ当たり1000円ほどで400グラム弱。
 一本400円でおつりが来る。
 下ろすと、残念ながら雄で白子を抱えている。
 コチ科の魚は真子がうまい。
 まあ、白子だってうまいもんだよ、と我が家独特の下ろし方で、白子をそのまま残して、頭部と腹を一緒に裁ち落とす。
 これを片身とともに海老名の海老さんからいただいた塩麹に漬けて、軽く干す。
 塩麹とは、たぶん麹に塩、水分を加えて軽く発酵をさせたもの。
 新潟から山形にかけて、よく食べられている三五八漬けに近いものだと思われる。
 違いは餅米の存在ではないだろうか? どろっと乳白色のものをスプーン一杯味見に食べると、甘みがある。

 干すときにも焼くときにも麹はあえて落とさなかった。
 ただ粘度が弱いので、そんなに表面にはついていない。
 この塩麹干しがうまいのだ。
 イネゴチはコチ類ではそんなにうまいとは思えない。
 脂がないので焼きたてをかぶりつくように、食らうと、芳醇な麹の香りと甘みがきて、イネゴチの白身の部分はつけ足しのようだ。
 救いはイネゴチは真子だけでなく、白子だって、うまいのだということを、改めて確認できたことか。
 このように淡白すぎる魚の味を補うには、やっぱり発酵食品がいちばんいい。

 イネゴチよりも塩麹に感心する一品となったが、このような優れたものを探し出してくる海老さん、やるじゃないの! そして、ありがとう!

2009年6月21日
ふじの木農場 新潟県三条市西潟
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、イネゴチへ
http://www.zukan-bouz.com/kasago/koti/inegoti.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
http://www.zukan-bouz.com/
posted by ぼうずコンニャク at 08:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 干物図鑑・干もの日和 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月23日

滋賀県米原市『やまに』のハス料理 03

sioyakaiaha0906.jpg

 車切りの後に20センチ以上の見事な雄バスの塩焼きが出てくる。
 下あごにくっきりと追い星が見える。
 背ごしには骨の軟らかな雌を、塩焼きには骨は硬いものの身にうまみのある雄を使う。
 たぶん火力の強い熱源で急速に焼き上げたものに違いない。
 包丁目を入れた切り口が、きつね色に盛り上がっている。
 箸をつける前から、香ばしい旨味をともなった香りが立ち上がってくる。
 覚悟はしていたものの、雄バスの小骨の多さ、小骨の硬さはかなりのもの。
 その小骨の煩わしさを、厭い忘れるほどに、この塩焼きはうまい。
 例えば活けのスズキを焼くと、ときどきこのように絶品となるが、それ以上に独特の風味があってハスはスズキに優る。
 身に甘みがあって、皮の香ばしくうまいことは名状しがたい。
 二杯酢が添えられていたのだが、初手こそ形ばかり浸したものの、むしろ邪魔にすら思う。

 塩焼きを、いつの間にか手づかみで食らっていて、指が塩だらけとなる。
 おしぼりで指を拭き、ぬぐっているところに、若い女将さんが、
「ハスを見ませんか?」
 呼びに来てくれる。
 ついていくと、青いバケツをもって、ご主人が立っている。
 のぞき込むと、そこには大振りの雌が1尾。
「車切りにする雌です。これが、なかなか手に入らんのです」
「ちょっと赤いんですね。ふっくら太っているようだし」
「春から、今くらいまでが、いちばんええときですな」

mesu0906.jpg

 この『やまに』は江戸時代には京都二条城に魚を納めていたという。
 それで山に二条城の「二」で屋号となったという。
 現在京料理というと、若狭の「ぐじ(アカアマダイ)」やハモなど海魚が有名であるが、本来内陸の都で食べられていた魚は淡水魚が中心であったはず。
 フナ、コイなどは琵琶湖からの輸送にも耐えただろうし、イサザ、モロコ、アユなどは加工品として京都に送られたのではないか?
 ここで戦国時代に思いを巡らせると、織田信長は尾張の人で、尾張は淡水魚を盛んに食べていたはず。
 永禄11年(1568)京を牛耳っていた三好氏を追い落とし入洛したとき、都で食べたのも淡水魚(湖魚)だったのではないだろうか?
 三好氏に使えた料理人を召し出し、料理を作らせる。これが水くさくてまずいというので、切れと命令したとの逸話が残る。
 この水くさくて薄味だというのは、尾張地方の淡水魚料理、ふなみそや甘煮などに比してのことで、京都・琵琶湖周辺の淡水魚料理の薄味であったことを言っているに違いないのだ。
 この料理人は信長好みの料理を作り直して許される。

 閑話休題。
 塩焼きの後には魚田がきた。

2008年7月21日
滋賀県米原市世継736
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ハス
http://www.zukan-bouz.com/koimoku/danio/hasu.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
http://www.zukan-bouz.com/
参考/『湖魚と近江のくらし』(滋賀の食事文化研究会編 サンライズ出版)
posted by ぼうずコンニャク at 03:02| Comment(1) | TrackBack(0) | 漁師料理・郷土料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月22日

ナガメバル騒動記

 生物にも「珍しい度」というのがある。
 それこそ深海にしかいない珍妙奇怪な魚とか、南極海にいかないと見つからないものとか。
 いろいろあるけど、とにかく探そうにも探せない。
 例えば、国内ではまだ数個体しか見つかっていないともなると、「珍しい度」がもの凄く高いということだろう。
 さて時間を金曜日にもどそう。
 北海道紋別市(オホーツク海に面している)の『まるとみ渡辺水産』さんから、
「一見メバルっぽいんですけど、漁師も港の人間も誰も見たことのない魚がとれまして、送りましたので種名がわかりましたら教えてください」
 との話が飛び込んできた。
 このとき、なんとなくナガメバルではないか、と思ったのだ。
 理由がなくもない。
 先週、アカガヤが入荷してきており、当然、魚類検索をひらくことになる。メバル類の検索過程でいつも真っ先に目に飛び込んでくるのがナガメバルなのだ。
 この魚がまことに正体不明。
 どうにも情報が手に入らない、という代物なのだ。
 魚に興味がある人なら、解説を読んだだけで、非常に珍しいに違いないとピンとくるはず。

 そして日曜日の午後、やってきたのがまさにナガメバルだった。
 たぶん国内では2個体目、もしくは3個体目だろう。
 珍しいからといって珍妙な姿をしているわけではない。
 平凡過ぎるほど平凡な姿だ。
 ここで「珍魚、必ずしも珍妙ではない」という格言を残しておきたい。
 ここでいつもなら魚類学の専門家に食べてもいいか、問い合わせるのだけど、検索はいたって簡単だった。
 珍しさよりも、味を確かめて見たいというのを優先することにする。

nagamebaru0906.jpg

 少量の刺身、塩焼き、これが非常に美味だった。
 魚類学者のみなさん、ナガメバルはもう一切れしか残っていません、悪しからず。

2009年6月21日
まるとみ渡辺水産
http://marutomi-kani.com/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ナガメバルへ
http://www.zukan-bouz.com/kasago/mebaru02/nagamebaru.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
http://www.zukan-bouz.com/
posted by ぼうずコンニャク at 12:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 魚貝類発見記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月21日

2009年06月21日の改訂記

イネゴチのページを改訂
http://www.zukan-bouz.com/kasago/koti/inegoti.html
アカムツのページを改訂
http://www.zukan-bouz.com/suzuki2/suzukika/akamutu.html
ヒラメのページを改訂
http://www.zukan-bouz.com/karei/hirame/hirame.html
マフグのページを改訂
http://www.zukan-bouz.com/fygu/fugu/torafugu/mafugu.html

ナガメバルのページを作成
http://www.zukan-bouz.com/kasago/mebaru02/nagamebaru.html

掲載種 2011
posted by ぼうずコンニャク at 21:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 改訂他のお知らせ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

築地土曜会は7月4日

築地土曜会を7月4日に行います。
場内を回る店員は自由枠以外は満杯となりましてが、懇談会のみの参加は募集中です。
今回から、参加者にはぼうずコンニャクバッジをお配りします。
また場内のお魚の試食、お土産つきです。

興味のある方、質問などは。
掲示板に参加してください。
http://csi.or.tv/tsukiji/kb/rb.cgi
詳しいことは
http://csi.or.tv/tsukiji/doyoukai.html
posted by ぼうずコンニャク at 15:02| Comment(1) | TrackBack(0) | 漁師料理・郷土料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

三重県熊野市『庄司商店』のシイラミリン

 地方に行くと必ず立ち寄るのがスーパーマーケットだ。
 あくまでも「スーパー」ではなく「スーパーマーケット」なので悪しからず。
 この両者の違いは「スーパー」は全国展開のチェーン店舗、「スーパーマーケット」は地元系と、ボクが勝手に決めている呼び分けなので、変に追求しないように。
 さて、尾鷲市のスーパー「サンバード」もなかなか楽しかった。
 なによりも鮮魚、水産加工品が充実している。
 同行したやがらさんなど、途中にあった道の駅で売られているものと同じなのに「半額だよ、半額」なんて目の色が変わってた。
 そこで地味なんだけど、惹かれるものが「シイラミリン」と書かれた「シイラのみりん漬け」だ。

siira090611.jpg

 手にとってカゴに入れるには理由が必要となるのだけど、この「シイラミリン」には本当にみりんが使われている。
 当たり前だろ、と思われる人は水産加工の素人だ。
 「みりん漬け」とか「みりん干し」とか「桜干し」なんて加工品はあくまでも商品名なのであって、商品の原材料を正確に表すものではない。
 「みりん○○」の多くが砂糖とか水飴を使って甘みを出している。
 しかも「シイラミリン」の裏面の原材料をもっと詳しく見ていくとシイラは尾鷲産というのがいい。
 この朝、大量に水揚げされるシイラを見ているので、これだけもスンゴイ魅力を感じてしまう。
 旅人の理想は港で水揚げを見て、水揚げされた魚を即食べられる、実際に買って帰れるということなのだ。

siira0906222.jpg

 買って帰ったら味の方もなかなかよかったのだ。
 みりんを使うと硬くなりがちなのだが、しっとり柔らかいし、甘さが控えめなのがこれまたいい。
 スーパーマーケットで格安で買ったのに、これほど上物であるというのが、またうれしい。

 こんなささやかなことだけど、旅人の熊野感というか東紀州感というのは、こんなものでよくなるのだ。

岩田昭人さんの「一日一魚」
http://www.pref.mie.jp/OKENMIN/HP/ichigyo/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、シイラへ
http://www.zukan-bouz.com/suzuki3/sonota/sira.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
http://www.zukan-bouz.com/
posted by ぼうずコンニャク at 09:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 水産会社、加工品図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

滋賀県米原市『やまに』のハス料理 02

 ほどなく冬瓜の煮物と湖産鮎の山椒煮がきた。
 実をいうと若女将に「飲み物はどうしますか?」と聞かれて、午後にかけての日程から「お茶にします」と言ったのが、ここでぐらついてくる。

ayu0906.jpg

 鮎の山椒煮がうまいのだ。
 炊き方(関西なので)は平凡ながら、炎暑を来た身に山椒の香りが心地よい。
「冷やが欲しいな」
 なんとほんの数分で初志が崩れてしまう。

kurumagiri090611.jpg

 そして車切りがきた。
 背ごしに切った雌のハスを、洗いにしている。
 口に入れるとコっと一瞬、骨が歯に当たる。
 ハスにはまったくクセも臭いもない。
 むしろ淡い旨味がツンと浮かんできて、はかなく消え去ってしまう。
 消え去ったら、またもどかしく数切れを口に運び運び、これは夏らしい味わいだと、我知らず喜びがこみ上げてくる。

 ハス料理が食べられるのは琵琶湖周辺でも、米原市世継周辺のみだったらしい。
 何軒か軒を並べていたハス料理を出す料亭が、今では『やまに』一軒のみとなっている。
 これは時代とともに人の嗜好が移り変わってしまったことも理由に挙げられよう。
 だがしかし、ハス料理が衰退したもっとも大きな理由は、ハスそのものがとれなくなったからであるようだ。
 生きているハスがなければハス料理は作れない。
 その生きているハスの確保が難しいらしいのだ。
 部屋のすぐ西にある琵琶湖、そこに定置網の一種、えりが見える。
 天野川河口はその昔ハスの宝庫であったという。
 船一艘見あたらない湖面にその面影はない。

 産卵期を目前にして、もっともハスがうまくなるのが4月から7月まで。
 そのハスの十尾に一尾しかとれないのが雌だという。
 生きている雌でしかできないのが車切りであって、めったに出合えない一品なのだ。
 その点、今回はついていた。
 しかも名物にうまいものなし、の真反対、車切りの非常にうまいのにも驚く。
 
2008年7月21日
滋賀県米原市世継736
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ハス
http://www.zukan-bouz.com/koimoku/danio/hasu.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
http://www.zukan-bouz.com/
参考/『湖魚と近江のくらし』(滋賀の食事文化研究会編 サンライズ出版)
posted by ぼうずコンニャク at 09:06| Comment(1) | TrackBack(0) | 漁師料理・郷土料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする